大嫌いな君と再会したら…
歓迎会
私はその週の金曜日に近所の居酒屋を手配し、歓迎会を催した。


幹事で良かった。

一磨は主賓席で課長と係長に挟まれている。

私は、末席の襖の前に陣取り、オーダーを通している。

私の隣はひとつ上の先輩、楠(くすのき)さん。

身長は平均的だが、なかなかのイケメン。

しかも気遣いのできる紳士。

向かいがオタクの遠藤くんなのは残念だけど、気にしなければいいだけの話。

「平井は夏休み、いつ取るんだ?」

楠さんに聞かれた。

「来月15日前後の1週間の予定ですけど、
楠さんは?」

「俺はまだ未定。
平井はやっぱり、帰省するのか?」

「はい、そのつもりです」

「ま、デートする相手もいなくなったし?」

「楠さん!!」

私は、この春、失恋した。

学生時代からずっと付き合ってきたが、私が仕事に追われ、残業に明け暮れている間に、他に好きな人ができたんだそうだ。

男ばかりの部署で、男性並みに働いてきて、すっかり女性らしさを無くしてしまったのかな…

「そういう楠さんだって、彼女いないじゃ
ないですか。旅行に行く相手がいないから、
夏休みの予定も決まらないんでしょ?」

私はついつい憎まれ口を叩いてしまう。

「お前、そういう事言うと、俺の夏休みに
付き合わせるぞ」

「ヤですよ〜。なんでせっかくの夏休みを
会社の人と過ごさなきゃいけないん
ですか」
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