死者の声〜最期のメッセージ〜
大河と如月刑事の間に飛び交う火花には気付かず、藍は立ち上がる。大河を睨みつけていた如月刑事は、慌てて咳払いをした。

「では我々は、事故と事件の両面を見て捜査を進めます」

如月刑事のその言葉に、朝子が「え?事件の可能性があるの?」と訊ねた。原刑事が答える。

「実は、被害者はかなりの人間から恨まれていたそうです。脅迫状なども届いていて、そのために我々は警護をしていました。また、被害者が主演をする予定だった刑事ドラマの事件が、今回の事件と話がほとんど同じなんです。そのことが気がかりで、もしかしたら事故に見せかけた殺人ではないかと……」

アレルギー、アナフィラキシーショック、恨み、刑事ドラマ……。

藍は頭の中でキーワードを浮かべていく。如月刑事と原刑事が帰った後も、藍は白鳥うららの死因について考えていた。



解剖から数日後、胃の内容物が判明し藍たちは中身を見る。

白鳥うららの胃の中には、鶏肉、玉ねぎ、にんじん、なす、ごぼう、トマト、米、貝、じゃがいも、ベーコン、牛乳が入っていた。
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