死者の声〜最期のメッセージ〜
「あ、それ知ってます!フードフェスティバルのやつですよね!?」

大河が目を輝かせながら言い、藍は首を傾げる。

「フードフェスティバル?」

チラシを読んでいくと、日本全国のご当地グルメや、世界各国の料理がお祭りの屋台で出されるというものだと書いてあった。ダンスや歌などの舞台発表もあり、午後はスペシャルゲストが登場するらしい。

「ねえ、せっかくだし行こうよ〜。おいしいものお腹いっぱい食べてさ、海外旅行行った気分を味わうの!この仕事じゃ気軽に海外なんていけないでしょ?」

日本の解剖率は、先進国の中で最下位だ。監察医の数も全国で百人ほどしかいない。気軽に休めないのは事実だ。

「霧島さん、いつも頑張っていますし、たまにはこういう時間を過ごしてみるのもどうですか?」

「ねえ〜。行こうよ〜」

藍の左右で、大河と朝子が説得をする。藍は少し考えてから、「行くわ。行きたい」と答える。いろいろな国の料理に触れられるなど、滅多にないことだろう。藍は興味を持った。
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