死者の声〜最期のメッセージ〜
「突然アナフィラキシーショックを起こして、本当に怖かったと思うわ……」

白鳥うららではなく、別の女優が演じているドラマを見ながら藍は呟く。

「まあそうよね。でもアレルギー反応って、いつ起こるかわからないよ」

朝子がクラッカーを食べる。クラッカーに使われている薄力粉だって、アレルギーを引き起こすものの一つだ。今ここで朝子や大河、藍自身もアレルギー反応を起こすかもしれない。

「調べてみたんですけど、トマトを一日に四トン食べると死んでしまうらしいですね。トマトに含まれるトマチンが人間には毒らしいです」

大河がそう言うと、朝子が「そうなの!?」と驚く。藍もゆっくりと頷いた。

「人は多くの毒と一緒に生活しているの。身近にある様々なものが実は毒なのよ」

「えっ?どんなものが毒なんですか?」

大河が訊ねる。藍は「例えば……」と微笑む。

「モロヘイヤ、チョコレート、塩、ツツジ、ナツメグなども食べ過ぎたりすると中毒症状が出たりするわ」
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