Rose
そう考えていると、手に持っていた携帯が震えるのがわかった。電話だ。

「もしもし、海羽?おはよう。」

『おはよう、颯斗。』

「もう準備できた?夏希さんが迎え行くよって」

夏希かぁ、朝からあの元気な男が来るのは疲れる。

「ん、? ああ、わかった」

颯斗はそばにいる誰かと話をしているらしい。

「海羽?十夜が行くって」

『十夜?きてくれるの??』

「もう3時間受け終わってるし、昼休憩中だから大丈夫。」

『わかった。待ってる。』

「うん、じゃあまた後で。」

『はーい。』

十夜はきっとバイクだから、10分ほどで着くだろう。

喉が渇いたので冷蔵庫の中からペットボトルの水を取り出し飲む。

それでもやっぱりさっきのNewsが頭から離れなかった。

Newsではまだ速報であの情報が流れ続けていた。











ブルルン

窓の外からバイクの音がして、きっと十夜が戻ってきた。

玄関のドアが開いてどんどん足音が近づいてくる。

ガチャッ

リビングのドアが開いて入ってきたのは、

永井 十夜_nagai toya_

黒髪で背が高く、制服を着ていなければ高校生だとはわからない。私の2つ上で、幼馴染。顔の整い具合も半端じゃない。

「よく寝れたか?」

私に近づいて頭を撫でながらそう言う。

『うん、よく寝た。ありがとね。わざわざ』

「いいんだよ、別に」

そう言って目を細める十夜はやっぱり優しい。

十夜の目線はテレビに移り、さっきのNewsを見た十夜はすぐにテレビを消した。

『ごめん、私また、、、』

「大丈夫。なんてことない。」

そういって私を抱きしめた。

どうしてこんなに私に優しくしてくれるのかはわからないけど、今はこのままでいたい。

私も十夜を抱きしめ返した。
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