Rose
「そろそろ行くか?みんな待ってる」

『そうだね、行こう。』

私の手を握って引っ張っていく十夜の背中はすごく大きく、すごく弱く見えた。

十夜は私にヘルメットをつけ、軽々私を持ち上げてバイクに乗せた。

重いのに申し訳ない…

「捕まってろよ、」

私が十夜のお腹に手を回して捕まると、バイクは学校に向かって走り出した。

『ありがとう、十夜。』

「ーーッ// あたりまえだ。」

耳を赤くして前を向いたままそう言う十夜。

このまま時間が止まればいいのに、










10分ほど走ると見えてきたのはバイク屋。

十夜がヘルメットを外し、私を下ろすと、

「おはよう、海羽」

『おはよう、翔也さん」

翔也さんは十夜のお兄ちゃんで私にも良くしてくれる。

「海羽、これ持っていきな!」

そう言って翔也さんが私に投げたのはみかん。

「そのみかん甘くて美味しいよー」

『ありがとう、後で食べるね』

「学校頑張れよ〜」

「海羽行くぞ」

少し不機嫌そうな顔で私の手を引く十夜。

なんでだろう。
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