身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「……何言ってるんですか。政略結婚みたいなものでしょう」
「それはそうなんだが」
言葉に詰まり、ぐぅと喉が鳴った。
確かにそうだ、恋愛結婚ではないのだが、閑としてはそれだけとは割り切れないものもあり、あまりにつれない彼女の態度には納得がいっていない。
「忙しい女性なんだと、最初は常務も余裕で構えていらっしゃったじゃないですか」
「まさか私以上に忙しいとは思わなかったんだ」
第一、身体は大丈夫なのか。ちゃんと寝て、食事はとっているのか。そう心配する声をかけても、いつも彼女は言うのだ。
――本当に、ごめんなさい! 迷惑かけて! もうちょっとしたら時間作りますので!
これが婚約者とのやり取りか、と思う。ちょっと気心の知れた取引先みたいな感覚だ。
もうずっと会っていなかったうえでいきなりの婚約なのだから、当然と言えば当然だが昔のように頼って甘えてくれないことが少し、いや、かなり寂しい。