身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

 指輪の箱を閉じてしまった彼女に、つけないのかと問いかければ、目を伏せ頬を染めたあと、ちらりと上目遣いにこちらを見つめた。

「……閑さんに、つけて欲しいです」

 ――これで欲情しない男はいないだろう。



 初めてのキスをした。固くなる彼女の様子に、急いではいけないと自分の中の熱を噛み殺す。同時に、妙な罪悪感も沸いて来る。

 結婚するのだ。何も悪いことではないのに、幼い頃の彼女の泣き顔と潤んだ目の前の彼女が重なり、自分がひどいことをしているような気持ちになった。
 雨音に助けられ、熱のこもった空間となっていた車内からどうにか彼女を逃がしてやれた。

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