身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
琴音の実家を訪ねたその帰り道。パーキングまでついて来た琴音が寂しいと零したことが、最後の箍だっただろうか。
口づけを解けば、琴音の唇から鼻にかかった微かな声と吐息が漏れた。
「……人、が」
熱と涙に潤んだ瞳でそう言われ、ずんと下腹部に重く響いた。
「車に入って」
そう言った閑をこそ、琴音は恐れるべきなのに。彼女は素直に車の中に乗り込んだ。
『私、閑さん送っていくから! お姉ちゃんの買いたいもの買って来るよ!』
ついて来ようとする可乃子を遮って、昔のように腕に縋り付いてきた琴音が愛おしかった。昔のような無条件の信頼を取り戻せたような気がして、触れてもいい合図のように身勝手な解釈をしてしまったのかもしれない。
運転席に乗り込んでロックをかけると、助手席に座る彼女へ上半身を乗り出す。顔を引き寄せようと添えた手が小さな耳を覆った。感じ入るように目を細める琴音に、こちらの欲も煽られていく。
「んっ……」
唇を触れ合わせれば、先ほどのキスの名残りで濡れていた。差し出した舌は抵抗されることなく琴音の舌に迎え入れられ、そこでばちんと頭の中で何かが弾けたように理性が飛んだ。伸し掛かる閑の身体に押されて、琴音の身体は助手席のドアの方へとずれていく。