身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
こんな会話はもう、いつものことになってきたので、そうなると躱すことにも慣れてくる。それに琴音にとって大きいのは、こういったことを夫である閑が理解してくれていることだろう。
閑が自分の味方でいてくれるから、気楽に聞き流せる。
そういえば、次に男がいいだのなんだの言われたら言ってやれ、と閑に指示されていた言葉があったのを、思い出した。
「そういえば、閑さんは女の子がいいって言ってました」
「ええっ⁉」
予想以上に驚いた顔をされて、逆に可哀想に感じてしまった。琴音は慌てて、頭を振った。
「どちらかというと、ってことです! もちろん男の子も可愛いですしね」
つまりはどっちでもいいという精神を持って欲しいのだと、そう促してみたのだが。優子は頬を押さえて少し黙り込み、ぽつりと言った。
「まあ、そうねえ……元気が一番だし。最初は女の子が育てやすいとも言うし」
「あ、聞いたことあります」
「もし女の子なら、次は産み分けを考えてみてもいいしね、そうね」
――……そう来たかぁ……。
と、琴音は遠くを見て乾いた笑いを浮かべた。