身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
そのまま抱きしめてもらえるなら、琴音はきっと頷いただろう。けれど、きっと彼はこれから浴室を使って、その後仕事を少ししてからベッドに来ることになる。
「ううん。でもちょっとだけ」
甘えるように両手を差し出すと、閑は嬉しそうに笑った。琴音が素直に甘えると、閑は嬉しそうにするのだと、最近わかった。
上半身を閑に預けて、ぴったりと寄り添う。両手を閑の背中に回し、閑を見上げると心得たように唇を啄まれた。
何度も何度もキスを繰り返すたび、少しずつ深くなる。舌を絡めてくちゅりと唾液の混じる音がすれば、閑の喉がこくりと音を立てた。
伝わる体温が、熱い。琴音の手のひらに触れる閑の背中も、琴音の身体に触れる閑の手のひらも。
妊娠がわかってから、こうしてキスをするだけで最後まではしていない。だからお互いがお互いを求めていることを、手探りで確かめるように、相手の身体に熱を探した。
キスの合間に零れる吐息の熱さえも、拾い上げて安心する。
こうしてずっとずっと、琴音だけを求めていて欲しい。そう願わずにはいられなくて、琴音は閑の身体に甘えて縋った。