身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
番外編
【番外編:閑side】
ベッドで休んでいた琴音が、目を閉じて寝息を立て始めた頃。音を立てないようにそっと側を離れて、リビングへ向かった。
スマホを手に取ると、可乃子の番号を発信する。きっと待ち受けたようにすぐに出るだろうと予測していたが、案の定だった。
『……もしもし』
気まずそうな、可乃子にしては小さく覇気のない声にため息を吐く。
『琴音、大丈夫だった?』
頭痛がしそうで、額に手を当てた。可乃子と琴音の喧嘩の様子を思い出し、苦い感情が込み上げてくる。
可乃子は、琴音が思っているほど完璧でもないし強くもない。そして琴音と同じように、琴音を羨んでいた部分もあると知っている。
子供の頃からそうだった。それでいて、泣いてついてくる琴音に冷たくすることができなかったところも。
「心配するくらいなら、どうしてあんなに興奮するほどの喧嘩したんだ」
『私だって、今日はちゃんと謝るつもりで……』
最初は本当にそのつもりだったのだろうと、察している。琴音と会えるようにとりなして欲しいと言ってきた可乃子は、何か気まずげだった。それでいて、俺に何か隠しているような雰囲気も感じ取っていた。
それがまさか、あんな嘘だとは予測もしていなかったが。
大方、琴音にだけ謝って昔の嘘をなかったことにして、これに乗じて琴音との関係の改善もしたかったのだろう。ずっと自分が距離を置かれたままなのも寂しいと感じていたに違いない。
ベッドで休んでいた琴音が、目を閉じて寝息を立て始めた頃。音を立てないようにそっと側を離れて、リビングへ向かった。
スマホを手に取ると、可乃子の番号を発信する。きっと待ち受けたようにすぐに出るだろうと予測していたが、案の定だった。
『……もしもし』
気まずそうな、可乃子にしては小さく覇気のない声にため息を吐く。
『琴音、大丈夫だった?』
頭痛がしそうで、額に手を当てた。可乃子と琴音の喧嘩の様子を思い出し、苦い感情が込み上げてくる。
可乃子は、琴音が思っているほど完璧でもないし強くもない。そして琴音と同じように、琴音を羨んでいた部分もあると知っている。
子供の頃からそうだった。それでいて、泣いてついてくる琴音に冷たくすることができなかったところも。
「心配するくらいなら、どうしてあんなに興奮するほどの喧嘩したんだ」
『私だって、今日はちゃんと謝るつもりで……』
最初は本当にそのつもりだったのだろうと、察している。琴音と会えるようにとりなして欲しいと言ってきた可乃子は、何か気まずげだった。それでいて、俺に何か隠しているような雰囲気も感じ取っていた。
それがまさか、あんな嘘だとは予測もしていなかったが。
大方、琴音にだけ謝って昔の嘘をなかったことにして、これに乗じて琴音との関係の改善もしたかったのだろう。ずっと自分が距離を置かれたままなのも寂しいと感じていたに違いない。