私の学校の生徒会、実は魔術師の集まりだったそうです
「小鳥遊、さん?」

戸惑ったような声が背中越しに聞こえる

その"最悪の事態"に、私はかつて陥ったのだ

それよりも下にあるものはない

それ以上の惨劇はありえない

だから私は、前を向くしかなかった

母への贖罪と、自分への枷

そうやって私は強くなった

「下を向いて何が起きますか?そうやって強くなれると思っているんですか?少しでも強くなりたいなら、常に前を向いて、進むしか選択肢はありません。後退なんて絶対にありえない」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

塞ぎ込んで、後悔ばかりが渦巻いても、そこで足踏み状態なのは目に見えている

そんなことをする暇があれば、自分のやるべきことに向かえ

奇跡を願え

「そうやって私は、生きてきましたから」

ずっとずっと、身体も心も縛る枷にして生きてきたのだから

彼にも同じ思いをしてほしくない

私のように、大切な人を失わぬように

───最悪を考えるのは、まだ早い

言葉を発さぬ彼に聞こえないほどの声で、そう呟く

私は一人、大郷くんをそこに残して建物から出た
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