私の学校の生徒会、実は魔術師の集まりだったそうです
「花音さん、って、どうして魔術を始めたんですか」

我ながら馬鹿な質問である

琴葉先輩から花音さんの生い立ちなるものを聞いておきながら

しかも内容が内容だ。とてつもなくまずった

幸か不幸か、それだけで表情は一切変わらない私

後悔した時には時すでに遅し

だが、私の失態を勘づくことなく、花音さんは『何も知らないのなら、仕方ありません』とばかりに苦笑いした

「私が魔術を本格的に始めたのは、姉が亡くなってからですね」

「・・・・・・お姉さん、ですか」

「はい。化物から私を守ろうとして、命を落とした私の姉です」

日頃の優しげな笑顔からは感じられないほど、寂しそうな顔

柔らかな陽の光で人を暖めるような笑顔は、そこになかった

「・・・・・・すみません」

「いえ、謝ることはありませんよ。こちらの事情ですから。それに今は割り切っています」

コツコツと私たちの歩く音だけが響く

最悪の雰囲気だ

花音さんは割り切っている、と言ったが、あの顔は完全に後悔している顔だ

かつての、私のように

「私、姉が死んだ直後は、なんで私は強くないんだろうってことばかり、考えてたんです」

沈黙の中、先に口を開いたのは花音さんだった

ああ、やっぱりか、と

私と全く同じ・・・・・・

「姉が生きていた証も、消されました。唯一覚えているのは私だけ・・・・・・死という瞬間に関わった私と、揉み消した人物しか、姉が生きていたということをこの目で覚えていないんです」

「揉み消された、って・・・・・・」

「・・・・・・芽衣さんは知らないですよね。私たちが幼い頃、強力な化物が出現した事件があったんです。その時に亡くなった方は、魔術という秘匿の存在に触れたが為に、生きていたことすら残さず、この世から完全に消されたんです」
< 44 / 51 >

この作品をシェア

pagetop