お願いだから、俺だけのものになって
(☆美紅side)


これは、現実なのだろうか?



それとも、寒い中
惨めな気持ちで
オードブルを売っていた私に

サンタさんが夢を
見せてくれているのだろうか・・・



私の隣には
オードブルを売り切ってくれた
奏多君がいて

駅前広場の
クリスマスツリーに向かい
歩行者天国を歩いている



何かしゃべらなきゃ・・・


でも
何を話していいかわからない



そんな時
奏多君が話しかけてきた



「美紅って
 いつもお弁当屋を手伝ってんの?」



「えーと・・・いつもじゃないよ

 平日は朝6時から7時まで
 私が店番をしているの」



「そんな朝早くに?

 ってか
 そんな時間にお客さん来んの?」



「うん
 だいたいが常連さんかな

 会社に行く前に
 よってくれる人もいるし

 奏多君の高校のサッカー部や
 剣道部の人たちも
 朝練前に寄ってくれたりするよ」



「うちの高校
 この商店街入って
 すぐにあるもんな」



奏多君はしゃべりかけてくれるから
話やすくて安心した



「夜は6時から8時までが
 私の店番タイムなの」



「美紅って
 家の手伝いして偉いよな」



急に奏多君に褒められて
ドキドキしてしまった



「そんなことないよ

 お母さん達
 朝早くから夜遅くまで
 働いているから
 手伝える時には手伝わないとね

 でもさすがに今日は
 お母さん達を恨んだよ

 こんな寒い中
 外でオードブル売らせるんだもん」



私が
プーという口をしていると




「でもそのお陰で
 一緒にクリスマスツリー
 見れるじゃん」



私の顔を見て
優しく微笑む奏多君



彼女でもないのに
期待させるようなこと言うのは
反則だよ・・・



私の心臓・・・

ドキドキしっぱなしで
大丈夫かなぁ・・・
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