右へならえ
大晦日。

今日は、ショッピングモールにあるサロンの
助っ人に行く。
よりによって、アイツと一緒なのは
嫌だが、仕事だから仕方ない。

淡々と仕事をこなし、
やっと休憩。

俺は、コーヒーが飲みたくて
ショッピングモール内にある
Cafeに向かった。

ふと、思い出した。
麻知か俺の家に初めて泊まった日の朝、
俺が入れたコーヒーを飲んで
おいしいって言ってくれた
あの顔が可愛いかった。

麻知のこと思い出すだけで
疲れきってても
笑顔になれる。

本当に麻知は俺のエネルギー源だな。

「ここ、いい?」
「……無理」
「冷たいなぁ、竜之介は」
「お前、馴れ馴れしいな」
「いいじゃない?仕事仲間だし……」
「俺は無理」

俺はレジに向かった。

会計を済ませて、店を出ようとした時、
俺の胸に衝撃が走った。

「麻知……」

俺がずっと会いたがっていた麻知だ。

麻知は買い物していたのだろうか
何個かの店の袋を持っていた。

髪伸びたな。
少し痩せたか?
でも相変わらず可愛い。

麻知に見惚れてると、

「知り合い?」
「……あぁ」

なんでこのタイミングで
俺の後ろから、くるんだよ。
かなり、機嫌悪く答えた。

麻知は、勘違いしたのか
走り出してしまった。

麻知、麻知、麻知。
俺はまた、傷つけてしまったのか?
でも誤解を解きたい。
俺は、スマホで麻知にかけた。

何度かけても繋がらない。

休憩時間も終わってしまう。

最後の望みをかけて
もう一度かけた。

「……もしもし」

繋がった。
俺は誤解を解き、
今日、家に来るように行った。

久しぶりに麻知に会えると
思ったら、嬉しくて、
仕事もどんどんこなせる。
やっぱり麻知のパワーは
すげぇなぁ。



家に来た麻知。

前より、他人行儀なのがわかった。
なんか遠慮しているというか
何か言いたい事があるような……。


麻知に言われた。
私だけを見て欲しいと。

俺は麻知だけを見てる。
でも、この仕事はたくさんの女性と
接する機会が多い。
これからも麻知のこと
傷つけるかもしれない。

もう俺のこと信じられないなら
付き合っていても
また麻知を悲しませるだけだ。


それなら別れた方がいい。
俺は別れようと告げた。


麻知。
俺は、麻知のこと大好きだったよ。
いや、今でも大好きだ。

本当はこの手で幸せにしてやりたかった。
でも、もう無理だ。


麻知。幸せになれよ。


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