右へならえ
「麻知……」
「お姉ちゃんおめでとう」
「ありがとう」
「麻知ちゃん、これからよろしくね」
「お兄さん、これからよろしくお願いします」

お似合いの2人。
美男美女だ。

お姉ちゃんは私と違って
綺麗で社交的。

私は……人見知りというよりは
人と話すことが苦手で
印象が悪い。
だから、本当に仲良くならないと
上手く話せないのだ。

「二次会くるでしょ?」
「私は……遠慮しておこうかな」
「えっ、なんで?おいでよ。
ビンゴ大会もあるし……」
「そうだよ。おいでよ」
「2人とも知ってるでしょ?
私が人と話すの苦手なの。
せっかくの楽しい場を
ぶち壊すわけにはいかないから」
「じゃぁ、竜之介と来る?」
「……お兄さん。私の話聞いてました?」
「竜之介は接客業してるから
話し上手だし。一緒にいて楽しいと思うよ」
「あっ、でも惚れちゃダメだよ。
アイツ、女友達たくさんいるから」
「それなら、なおさら無理です」

そんな人、無理だよ。

「竜之介……」

向こうから歩いてくるのは……。

ま、まさか。
あの竜之介さん?

「竜太、麻里子さん、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「おう、サンキュ」
「竜之介、お前に頼みがあるんだけどさぁ」
「なんだよ」
「こちら、麻里子の妹の麻知ちゃん」
「どうも、麻知です」
「竜之介です」

なっ、何?
爽やか過ぎる。
きっと私のことなんか
覚えてないんだろうなぁ。
大勢のお客の1人だし。

「君、うちのサロン来たことあるよね?」
「えっ?覚えてたんですか?」
「もちろん」

その笑顔、ヤバイです。

「なんだぁ。知り合いだったのかぁ。
じゃぁ、話は早いな。
竜之介、悪いけど二次会麻知ちゃんと
一緒に行ってくれないか?」
「お兄さん、私はいいですから」
「大丈夫だよ。こいつ面倒見いいから」
「麻知ちゃん、一緒に行く?」
「め、迷惑じゃないですか?」
「迷惑じゃないよ」
「じゃぁ、決まりだな。竜之介よろしく」
「竜之介さん、麻知のことよろしくね」
「はいよ。じゃぁ行こうか?」
「……はい」

私たちは、竜之介さんの車で
二次会の会場へ向かった。
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