溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
22話「知らない喧嘩」
22話「知らない喧嘩」
★☆★
「何だよっ!くそっ!」
玲はその日、苛立っていた。
スーツのネクタイを弛めて、髪をかきむしった。
自宅に帰り、スーツのジャケットを脱いでソファに投げ捨てた。
そして、冷蔵庫から缶ビール、そして台所にあった缶詰を取ってどちらも蓋を開ける。
それを持ってリビングのテーブルに置いてソファにドカッと座った。
「何で履歴書出したときはよかったのに……すぐ断りの電話ばっかりなんだよ!」
缶ビールを飲んで、そう愚痴をこぼした。
玲は転職を繰り返しながら暮らしていた。
それは大学卒業から繰り返していたのだ。何をしても続かず、何かイヤな事や問題が起きるとすぐに辞めていた。それでも生きていけたし、その方が責任がない仕事を続けられるので楽なのだ。
けれど、最近仕事を辞めてから、新しい仕事がなかなか見つからないのだ。説明会や電話などで問い合わせをして面接をしても、すぐに電話が来て不採用が決まるのだ。
「………ついてないな………。」