溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 花霞はゆっくりとリビングに進み、男に声を掛けた。


 「あ、あの………。」

 
 小さな声しか出なかったけれど、男はすぐに気づいて顔を上げた。


 「あぁ、起きましたか。体調は大丈夫ですか?」
 「はい………。結局、倒れてしまったみたいで。ご迷惑をお掛けしました。助かりました。」
 「あれから熱も出して寝込んでいたんですよ。大丈夫でしたか?」
 


 男はソファから立ち上がり、花霞の方へ近づいてきた。そして、花霞の顔をまじまじと見てから「少し顔色がよくなりましたね。でも、少し青白いかな。」と言った。


 「丸々1日寝てましたよ。」
 「え……そんなに………本当にご迷惑お掛けしました。」
 「仕事も休みだったんで大丈夫ですよ。あ、お腹空いてますよね。一応お粥作ってあるんで。あと、風邪薬であれば薬も買っておきました。」
 「え………。」


 男はそういうと、キッチンに入るとテキパキと準備して、トレイに温めたお粥と梅干し、温かいお茶と水を乗せて、リビングのテーブルに移動させた。


 「はい。どうぞ。」
 「あ、あの………。」
 「ん?どうしましたか?」
 「…………どうして、見ず知らずの人にそんなに優しいのですか?私、迷惑しかかけてないのに。」


 花霞は自分の思っていた気持ちを男にぶつけた。きょとんした表情を見せた後、男は少し困ったように微笑んだ。



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