溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
「あ、ラベンダー畑があるよ!よくアロマでも使ってるし、行ってみたいかも。」
「………ラベンダー畑か。…………あぁ、このハスの花も綺麗だな。これは花屋にもないから珍しいんじゃないか?」
「確かにそうかも。ハスの花、見に行ったことないなー。」
「じゃあ、ここにしようか。」
「うん、行きたい!」
花霞は彼のスマホ画面に移るハスの花の写真を見つめた。水面の上の浮かぶ白と黄色やピンクが鮮やかなハス。水辺にあるため、夏に鑑賞するにはピッタリの場所かもしれない。
花霞はそこへ訪れるのを今から楽しみにしていた。
「あ、椋さん。ここはアジサイも………。」
椋のスマホに触れようとした時だった。突然、画面が切り替わり、ブルルルっと震えた。画面は通話画面になった。
相手の名前の表示はなく、電話番号も非通知になっていた。
「悪い、たぶん急用だ。」
「うん………。」
花霞は、持っていた彼のスマホを手渡すと、先ほどの笑顔ではなく笑みのない真剣な表情の彼は、リビングから出ていってしまった。廊下に出ると、誰かと話す彼の声が聞こえてきた。
その後、バタンッとドアがしまる音がした。きっと、椋が書斎に入ったのだろう。
花霞はそれを、リビングから見えるはずもないけれど、椋の書斎がある方をじっと見つめた。そして、突然なくなって彼の熱に、寂しさを感じていた。
「せっかく2人で過ごしてたのにな…………。椋さん、早く戻ってくるかな?」
花霞はスマホの画面をスクロールしながら、先ほど椋のスマホで見ていたハス園の事を検索して見て待つことにした。
花の写真が次々とうつし出されると、花霞の心は落ち着いた。
そして、この場所を椋と2人で訪れ、手を繋いでゆっくりと話しをしながら花を見る。そんな事を想像しては自然と笑みがこぼれてしまった。