溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
すると、バタンッとまたドアが開く音がしたので、花霞は彼が戻ってくると思い、ソファから立ち上がって、パタパタと廊下の方へ向かった。
「椋さん、これなんだけど………。あ………。」
しかし、戻ってきた椋は手に鞄を持ち、先ほどまで着ていた部屋着ではなく、出掛ける格好をしていたのだ。
「出掛けるの?」
「あぁ……急用が入ったんだ。今から出掛けてくる。」
「………わかった。気を付けてね。」
「花霞ちゃんも。誰か来てもドアを開けちゃだめだよ。」
「大丈夫だよ。子どもじゃないんだから。」
心配する椋を見て、花霞はクスクスと笑ってしまう。けれど、心の中では「夜中にどこか行くなんて、心配。」「寂しいな……。」と思いながらも、彼を笑顔で見送ろうと思っていた。
けれど、久々の2人でゆっくりする時間だったからなのか、花霞は離れたくない、と強く願ってしまっていた。
仕事で会えたい日もあるというのに、不思議な感覚だった。