溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
花霞は早足で家に帰ったせいか、家に着く頃には、汗だくになっていた。
それでも、椋に早く会いたかったのだ。
それに、彼に送ったメッセージは既読になっていたけれど、返信が来る事はなかったので、花霞は心配していたのだ。
普段ならばどんなに忙しくても、数時間後には連絡が来ていたのだ。
今までになかった事が続き、花霞は不安になってしまっていた。
息を荒く吐きながら、急いでドアを開ける。
けれど、そこは真っ暗な廊下が続いているだけだった。電気をつけてみても、彼の靴はまだなかった。
「椋さん…………まだ帰ってきてないんだ。」
はーはーッと呼吸をしながら、ぽつりと独り言を吐いてしまう。
椋はどうしたのだろうか。
1日どこかに行くことはあったけれど、その時は必ず連絡をくれていた。
それとは違う事が花霞には直感でも実感でも感じてしまい、彼が心配で仕方がなかった。
ヨロヨロと廊下を歩き、リビングにバックを置いてスマホを持ちながらソファに座る。
恐る恐るスマホの画面を見るけれど、椋からの連絡は来ていなかった。
「椋さん……何もないといいんだけど………。」
花霞は何回目になる電話をかけた。
けれど、プルルルル………という音だけが空しく続き、花霞は溜め息を吐きながら電話を切った。
彼のために、夕食を作って、お風呂を沸かして、洗濯物をたたまなければ。そう思っているのに、体が動かなかった。
それで椋が帰って来なかった、どうすればいいのだろうか?
それを考えるだけで不安で仕方がなかった。
明日の朝に帰って来なかった、栞と相談して警察に届けた方がいいのかもしれない。彼の職場だ、きっとすぐにわかってくれる。
それに仕事で何かに巻き込まれてしまったとしたら、妻である花霞に連絡が来るはずだった。
けれど、椋の仕事仲間にも友達にも会ったことがない花霞に連絡が来るものなのだろうか。
そんな事を思い、花霞はフッとある事を思った。