溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
やっとの事で椋に繋がる物を見つけて、花霞はつい笑顔になってしまう。ここまで来て良かった。やっと、椋に会える。話して、少しでも彼を守れるかもしれない。
そんな風に思えて、今すぐにでも会いたくなった。
しかし、車の中には人影がない。
彼はもちろん車内にはいなかった。
この車の近くで待っていようと、周りをキョロキョロと見渡した時だった。
ラベンダー畑から離れた場所にトラックが数台と黒い車が停まっていた。そこは、ラベンダー畑に輸送する業者用の出入り口付近なのか、大きいトラックなどが停められるスペースになっていた。
けれど、そこに1台の黒塗りの高級車。
その場所にあるのはとても不自然に感じられた。
花霞は気になってしまい、そちらを見つめていた時だった。
車から数人の男が出てきた。すると、トラックからも2人ぐらいの男が出てきて何かを話していた。
花霞はどくんっと鼓動が高くなった。
何故だかわからない。けれど、彼らはきっと良くないことをしている。そんな気がして、花霞は車の影に隠れながら、その様子を確認していた。
すると、トラックから小さな段ボールが数台運び込まれ高級車に積まれていく。
それを見ていた時だった。
ラベンダー畑の方から1人の男性がゆっくりと彼らに近づいていくのが見えた。
黒髪に白シャツ。黒っぽいパンツを着た細身の男性。
椋だ。