溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
「りょ………さ………。」
「…………え…………。」
花霞の声が届いたのだろう。
目を擦っていた手が止まった。
そして、茶色の瞳がこちらを見た。彼は驚いた顔を見せた後、泣きそうに眉を下げて、花霞に近づいた。
「花霞ちゃん………。目を覚ました………!」
「椋さん…………。」
「…………よかった………やっと君に会えた。………傷口は痛まない?」
彼は、花霞の頬に触れながら、心配した表情で見つめる。焦った様子で、花霞に話しかけるけれど、花霞は久しぶりに愛しい人に会えたような気がして、目に涙が溜まっていくのがわかった。
あぁ、椋さんだ。
やっと会えた。
家を出てしまってから、必死に探して、やっと見つけたのだ。そして、彼を守ることが出来たのだとわかり、花霞は安心し、そして嬉しくなった。
「あぁ、医者を呼ばないと………。」
「椋さん…………。」
「ん?どうした、花霞ちゃん。」
ナースコールをしようとした椋は、花霞の声を聞いて、その手を止めてまた優しい表情で花霞を見てくれる。
名前を呼べば答えてくれる。それが堪らなく幸せで、花霞は瞳から涙が落ちた。
「おかえりなさい………椋さん………。」
「………っっ…………。」