溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
椋の目からも涙が溢れている。
そんな気がしたけれど、それはもう見ることは出来なかった。
ベットに体を預ける花霞を椋が覆うように抱きしめてくれたからだ。
「花霞ちゃん…………ごめん。ただいま………。」
椋は掠れた声でそういうと、更にギュッっと強く抱きしめてくれる。
花霞はその苦しいぐらいの抱擁で、椋の体温や鼓動を感じられ、守れてよかったと改めて思えた。
「………私がした事。………怒ってない?」
「怒ってないよ。ありがとう、俺を守ろうとしてくれて。………そして、俺に正しさを思い出させてくれて。」
「…………うん…………。」
「………君を好きになって、本当に幸せなことばかりなんだ。俺と結婚してくれて、ありがとう。」
「…………もう期間限定の結婚じゃくていいの?」
「あぁ………。本当の夫婦なんだろ?」
「…………よかった。」
花霞は震えながら腕を挙げて、彼の体に手を伸ばす。抱きしめかえされたのがわかったのか、椋は顔を上げて、花霞の顔を見つめた。そして、ニッコリと花霞が大好きな優しい笑みを見せると、ゆっくりと唇を落とした。
「俺の奥さん………これからはずっと君を守って幸せにする。」
その言葉が花霞の体に溶けていくと、花霞はまた涙が溢れた。
それは、幸せで嬉しい涙。
こんなにも気持ちが満ち足りているのは、目の前に愛しい彼のお陰。
花霞は、彼の温かい唇を感じながら、そっと目を閉じた。