溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
「医者には、ゆっくりさせてくださいって言われたから、少し我慢しなきゃいけないって思ってたんだけどな………。花霞ちゃんのその言葉聞いたら、我慢出来なくなった。」
椋の言葉が終わるのと同じ頃。
車がいつものマンションの駐車場に停まった。
椋の腕がこちらに伸ばされて、花霞の頬に指先が触れた。それだけで、花霞の体がビクッと震える。
「家に帰ったら、花霞ちゃんを抱きしめていいって事だよね。」
「え………う、うん。」
「………もちろん、それだけじゃ済まないから。それは、今のうちに謝っておくよ。」
そういうと、椋は花霞の頬に素早くキスを落とすと、「帰ろう。」と言って、大量の荷物を持って降りる。花霞は少し緊張しながらも、椋の熱を持った瞳を思い浮かべては、更に胸を高鳴らせた。
椋と手を繋ぎ家までの短い距離を歩く。
久しぶりのマンションは、何故かどこか違っているように感じてしまうから不思議だ。
椋は部屋の鍵を開けて、花霞を先に玄関へと入れてくれる。ガチャンとドアが閉まると同時に、花霞の体は彼の逞しい腕に引き寄せられ、強く抱きしめられる。それに応えるように、花霞も彼の背中に腕を回す。
温かい。
彼の鼓動も香りが花霞の気持ちを高めてくれる。もっと、椋を感じたいと強く思ってしまうのだ。
「ずっとずっとこうしたかった。君と離れて、死ぬかもしれないって思っていても。花霞ちゃんの事が頭から離れなかった」
「椋さん………。」
「だから、この家でこうやって君を抱きしめられるのが嬉しくて仕方がないんだ。………早く花霞ちゃんを感じさせて。」
「私も………同じだよ。椋さんを感じたい。」
「…………行こう。」