溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
この日もいつも通り、「体調はどう?ほしいものとか、困っていることはない?」と聞くと、蛍は落ち着いた様子で「俺は大丈夫。花霞さんは?」と聞かれてしまい、ついつい最近の事を話してしまったのだ。
頑張っている蛍に話すような事でもないとはわかっていたけれど、ついつい話してしまったのは、自分が思った以上に椋との2人だけの時間を楽しみたいと思っていたのだと感じてしまった。
「ごめんなさい………こんな話しをしちゃって」
「いいよ。外の話しを聞くのは楽しいよ………少し焼きもちやくけど」
「え?何?」
最後の言葉はとても小さい声だっため花霞は聞こえず聞き返すが彼は「何でもない」と言った後に、苦笑を浮かべた。
「花霞さんは、残り少ない2人だけの時間を、楽しみたいって事でしょ?だったら、それをそのまま言えばいいよ。」
「…………そうだけど………」
「もっとイチャイチャしたいですー!ってね」
「もう!蛍くん……からかってるでしょ?」
クスクスと笑う蛍を見て、花霞は恥ずかしくなり大きな声を出してそう言ってしまう。そんな様子を見て、蛍は更に楽しそうに笑っていた。
「けど、本当にそう思うから。悩んでいる時間も勿体ない。悔しいけど、あいつならわかってくれるんじゃないの?」
「……うん。そうだね……ありがとう」
蛍は笑顔から真面目な表情に変え、そう言ってくれたので、花霞は頷いた。蛍の言っている事は本当にその通りなのだ。
言葉にしないと伝わらないこともあるのだ。 悩んでいるより彼と気持ちを話し合い、わかりあった方が笑顔の時間も増える。それに、椋ならば、気持ちを理解してくれる。そう思えた。
「ねぇ………花霞さん。お腹の中の赤ちゃんにはこんな場所よくないと思うんだ。だから、しばらくは………」
「私は大切なお友達会いに来てるだけだよ。赤ちゃんにも蛍くんの事、覚えて欲しいの。だから、これからも会いに来る」
蛍の言葉が終わる前に、花霞は言葉で彼の話しを止めた。蛍が何を言おうとしたのかわかったからだ。
蛍は驚いた表情をした後に、嬉しそうに笑い、「ありがとうございます」と変わらない屈託のない笑顔を見せたのだった。