溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
「………少し寂しかったの」
「え………」
「椋さんは赤ちゃんの事、とっても大切にしてくれてるし、産まれることを楽しみにしてくれる。それは私も嬉しいし、体を労ってくれるのも、とっても助かってる。………だけどね、私は椋さんが好きなの。だから、椋さんとの時間がもっと欲しいし、自分だけを見てほしいって思っちゃう事もある。……だから、恋人みたいにデートしたいなって思ったの。最近は挨拶のキスだけで、甘えるようなキスもしてなかったし、その……椋さんも触れてくれなかったから。…………ごめんなさい」
何て自分勝手な気持ちだろうか。
そう思い、花霞は椋に向かって謝った。すると、椋は困った表情を見せた後に「何で、花霞が謝るんだ」と、濡れた手で花霞の髪に触れた。その指が微かに頬に触れただけで、花霞はくすぐったさと嬉しさを感じ、頬を染めてしまう。
すると、椋はハッした表情を見せ、そして、謝罪の言葉を紡ぎ始めた。
「………ごめん、花霞。子どもの事が嬉しすぎて俺は舞い上がってたのかもしれないな。確かに生まれてくる赤ちゃんは大切だし、守りたいも思ってる。………けど、俺が1番に守らなきゃいけないのは、花霞なんだよな。大好きなのも、花霞だ。辛そうにしている姿を見てたから、体に負担にならないようにって、触れることさえも我慢してた。けど……違った」
そう言って、椋はまた正面から優しく花霞を抱きしめた。
「花霞を笑顔に出来ない男が、子どもを幸せになんか出来ないよな。……前と同じように……いや、今まで以上に花霞との時間を作るよ。沢山話して、手を繋いで、キスをして触れ合って。………花霞の望んでいる願いは、俺も同じだよ」
「………椋さん………」
「母親になっても甘えてくれよ。俺の大切な奥さんには求めて貰えるなんて、これ以上にない幸せなんだから」
「…………うん。………ありがとう」
おはようやおやすみ、いってらっしゃいのキスの外にキスをしたのは久しぶりだった。
少し熱くなった唇を求め合い、2人はしばらくの間キスを続けた。今まで出来なかったキスを埋めるかのように、体がのぼせそうになるまで、2人の甘い時間は続いたのだった。