溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
「んー………残念だったな。まだ、わからないなんて」
次の検診の日。
椋と花霞は手を繋いで病院まで行った。
成長は順調だが、花霞の体重の増加を告げられただけで、赤ちゃんの性別はまだわからなかった。
「わからないって事は、女の子なのかもしれないね」
「いや、赤ちゃんの体勢で見えなかったらしいから、まだわからないぞ」
「椋さんは男の子だと思うの?」
「………わからない。俺はどちらでも嬉しい」
「そうだね……私は、食べ過ぎ注意だなー……」
「じゃあ、ケーキはなしか?」
「食べるよ!行きたかったお店なんだから!」
花霞と椋は、この後に海の見えるカフェでのんびりとデザートを食べに行く予定になっていた。体調を考慮して、あまり遠出は出来ないけれど、それでも2人はとても楽しみにしていた。
「そういえば、近くに水族館もあるらしいぞ。行ってみるか?」
「うん!行きたい!イルカのショーあるかなー」
花霞はニコニコしながら、彼の車に乗り込み、助手席に座った。椋も運転席に座り、出発のはずだった。
が、椋は花霞の頬に手を伸ばし、愛おしそうに目を細めて微笑み花霞を見つめていた。
久しぶりのデート。気分が高揚しているのは、花霞だけじゃなかったようだ。
「………こういう穏やかで、花霞の笑顔が見られる時間が好きなんだったな。………今日はもっと楽しもう」
「うん」
そう言うと、花霞と椋はキスを交わした。
すると、「僕もまぜてよ」と言わんばかりに、お腹の赤ちゃんが動いたのを花霞は感じていたのだった。
(おしまい)