溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
花霞は自分の決めたことに自身が持てなかった。持てるはずがなかった。
普通に考えてみれば、会って1日で同棲し、結婚すると決める事など、ありえないのだ。騙されていると考えるのが普通なのだろう。
花霞自身だって、それはよくわかっているはずだった。
それなのに、結婚を決めてしまった。
そんな自分に驚きながらも、家に帰るのをドキドキしてしまっているのだった。
そんな花霞の決めたことを、他の人に聞いて意見を聞かせて貰いたかった。
すると、栞はキョトンとした顔で花霞を見た。そして、ニッコリと笑った。
「反対して欲しかったの?」
「………そうじゃないけど。栞は反対するって思ってた。」
「確かに、会ったばかりですぐに結婚するなんてって思ったけど。話しを聞く限りだと、今の所は元彼氏よりはいい人みたいじゃない?」
「それは、そうだけど………。」
「…………私は玲くんの事、そんなにショック受けてないんだなって……そっちも心配してたんだよ。だから、その結婚相手のお陰でもあるのかなって思ったら、なんかそこまで反対出来なくなっちゃったよ。」
苦笑を浮かべながら、そういうと花霞の方に近づいて、そして自信がなく栞を見ている花霞の顔を覗き込んだ。
「不安な所も確かにあるよ。後からお金請求されたり、どんどん悪い所が目立つような人かもしれない。……けど、それも本当かわからないよね。本当にいい人かもしれないし。………きっと、私にも花霞にもわからないよね。」
「うん………。」
「それなのに、花霞はその人と一緒に居ようって決められたのは、何かフィーリングみたいなのが合ったのかもしれないし。………彼に求めたいものが合ったのかもしれない。だから、少し様子を見てもいいと思うよ。今時、1回の結婚で運命の人に出会えるなんて、みんな思ってないしね。………とにかく、何かあったらいつでも相談して。そして、その椋さんって人にも合わせてね。」
「うん。ぜひ、会って欲しいな。」
「楽しみだなー!イケメン!」と、言いながら、栞は仕事に戻った。
花霞は、こうやって親身に話しを聞いてくれる親友が近くにいる事を感謝しながら、手元の作業に戻った。
栞に言われた通り、私か決めたことであるし、きっと心の中でこの人ならば大丈夫だと思ったのだろう。もちろん、弱っていた花霞の心に寄り添ってくれた優しさに甘えたい気持ちもあったはずであるし、それが大きいのも確かだ。
けれど、そうじゃない何かも確かにあるはずだと、栞との会話だ思ったのだった。