溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
「今日は歩いてきたんだ。疲れてるのに、ごめんね。」
「いえ……。あの、荷物ありがとうございます。でも、花もあるので自分で持てますよ?」
「大丈夫だよ。これぐらい持てるから…………。」
「椋さん?」
椋は、返事をした後、何かを考え込むように黙ってしまった。不思議に思った花霞は椋の顔を覗き込むと、椋はニッと笑って、花束をこちらに向けた。
「やっぱり、持って欲しいかな。花束でいいから。」
「え、うん。それは構わないけど。」
椋から花束を受け取り、花霞は両手で優しく持って歩き出そうとする。
すると、花霞の手をとり、指を絡ませながら手を握った。
「え………。」
思わず繋がれた手を花霞が見つめると、椋は腕を曲げて、繋いだ手を目線まで上げて、嬉しそうに微笑んだ。
「手、繋ぎたいなって思ってたから。………だめだった?」
「………いえ。」
「よかったー!やっぱり歩いてきてよかったなぁー。花霞ちゃんと歩いて帰れるなんて、嬉しいよ。」
「………もしかして、手を繋ぎたくて歩いてきたんですか!?」
「そういう事にしておこうかな。」
ブンブンと繋いだ手を揺らし、はしゃいでいる彼に、花霞は思わず笑ってしまった。
すると、椋は「え?笑うところだった?」と、不思議そうに花霞に質問した。
花霞は、クスクス笑いながら、「時々、椋さんって子どもっぽくなる所あるよね」と、言うと、椋は「そうかな。」と、少し拗ねたような顔を見せた。それを見て、花霞は「やっぱり。」と言って、更に笑う。
そんな些細な会話がとても楽しく、花霞はいつも笑顔になってしまう。
椋は、どんな花霞を知っても、受け入れてくれたり理解してくれるので、花霞は自然体でいれた。それが、どんなに幸せなことなのかを、最近実感していた。
手を握り、彼の体温を感じながら歩く帰り道は、いつもと違いポカポカとした気持ちにさせてくれた。