溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 椋の言葉は、花霞をホッさせるのに十分なものだった。
 彼も、自分と同じように半年後の未来も考えてくれている。夫婦を止める事はないのだと、安心した。

 それの気持ちの変化が、何を意味しているのか。花霞は、彼への想いを少しずつ考えるようになっていた。


 「それとね。俺はお金より欲しいものがあるよ。」
 「…………えっ……………っっ!!」



 いつもより低音でドキリとする艶のある声が聞こえた。胸が高鳴った瞬間。花霞の体はソファに倒れていた。
 柔らかな感触を背中で感じる。
 彼の顔で光を消して、椋の影が花霞に重なった。

 「………椋さん………。」
 「………出会いと結婚は、興味からだったかもしれない。正直、合わなかったら別れればいいと思ってた。けど、1ヶ月一緒に居て俺はとても楽しかったんだ。幸せで毎日が充実してて、花霞ちゃんのために何かしたいって思ってばかりだったよ。」
 「……………。」
 「俺は君が好きになった。本当の夫婦になれて、幸せなんだよ。………だから、欲しいものはただ1つだ。」


 花霞の頬に椋の手が触れる。
 その手は驚くほど熱くなっている。頬から唇、首元、そして胸元へとゆっくり指が降りていく。その感覚に、花霞はゾクッとし体が震えた。それは恐怖ではなく、体が彼を求めている感覚だとわかり、花霞はすぐに真っ赤になってしまう。


 「今すぐにとは言わない。でも、花霞ちゃんが好きで、本当の意味で自分のものにしたいと思っている。………近い未来、花霞ちゃんの全部を俺に見せて。」


 椋は、いつものように触れるだけのキスを落とし、ゆっくりと体を離した。
 「急にごめん。」と言って、腰を支えて起こしてくれる彼の体も、キスの唇も、全てが熱く、花霞の鼓動は早くなるばかりだった。



 彼の熱が離れてしまうと、「寂しい。」と思うはずなのに、花霞はそれを椋に伝えることは出来なかった。



 

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