溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
11話「驚きの誕生日」





   11話「驚きの誕生日」





 椋から「好き」と告白された日はなかなか寝つけなかった。
 結婚しているのに告白というのもおかしな話だが、それでも「好き」という気持ちを伝えてくれたのだから、告白になるのだろう。


 彼から好きだと言われ、全部が欲しいと伝えられた時、花霞はとても嬉しいと思った。
 椋が、幸せな時間と悲しみを消してくれて、一緒にいる事が心地いいと思わせてくれた。自分から彼にもっと近づきたいと願う事も多かった。
 それなのに、何故かすぐに彼に返事を伝えることが出来なかった。

 それを考えている内に、寝れなくなったのだ。そんな花霞を椋は心配してか、遅くまで傍に居てくれた。「寝れない?」と、小さな声で言われ頷くと、椋はいろいろな話をしてくれた。


 「小さな頃から警察に憧れていたんだ。誰かのヒーローになりたい。誰かを守りたいって思ったんだ。」

 と、幼い頃の夢を叶えたと、椋は教えてくれた。小さい頃の彼はやんちゃで椋は「悪餓鬼だったよ。」と、笑った。けれど、いたずらをしていた椋に「カッコ悪い。」と言い続けない友達が居たという。


 「俺より年下の癖に、カッコ悪いカッコ悪いって言われるんだ。すごーく悔しくて、その友達もいじるようになったんだけど、そいつは何をしても泣かないし、「カッコ悪い」ってしか言わなくて。」
 「………すごい子だね。」
 「あぁ。まぁ、変わってたよな。俺がある日「何がカッコ悪いんだ!俺は強いんだぞ。」って言ったんだ。そしたら、あいつ何て言ったと思う?」
 「………いじめてるから?」


 花霞が答えると、椋は首を横に振った。そして、嬉しそうに微笑みながら言った。



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