溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
花霞は、ギュッとシーツを握りしめた。
椋が倒れてしまったら、彼に何かあったら……そう考えるだけで、不安で仕方がなかった。
自分の隣には椋が居てくれる。
それが当たり前になっているのだ。
たった2ヶ月前に出会ったばかりだというのに、彼の存在は花霞の中でとても大きなものになっているのだ。
泣きそうになって俯く花霞を見て、椋は困った顔を浮かべながら花霞を見つめた。
そして、椋がプレゼントとした結婚指輪がはめられている花霞の左手を、椋は優しく握りしめた。
「今から少し休むから安心して。それに、今日はいつもよりは早く帰ってこれる予定なんだ。………と、言っても夕方は難しいから、日付が変わる前には、だけどね。」
「………本当に?」
「あぁ………今日は休ませて貰うから、花霞ちゃんに夕食をお願いしてもいいかな?花霞ちゃんの手料理が食べたいな。」
きっと彼は花霞が家を出てすぐにベットから出て仕事に行くだろう。
夕飯を作る時間も作れたはずだ。
けれど、彼が強く花霞の手を握って微笑むのを見て、花霞は椋の言葉を信じるしかなかった。
「………うん。夕御飯、楽しみにしててね。」
花霞は力なく微笑みながら、そう答える事しか出来なかったのだ。