溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を


 
 「花霞?大丈夫……?ボーッとしてるけど………。」
 「あ、ごめん。ちょっと考え事してて。」
 「花霞もあんまり心配しすぎないようにね。不眠症については、ネットとか本とかで調べてみるといいかもね。私も、調べてみるわ。」
 「ありがとう、栞。私も、帰る前に本屋に寄って調べてみるよ。」
 「あら。今日は、夕御飯を作るから早く帰るんじゃないの?」
 「あ………そうだった。」



 椋の心配ばかりしていて、花霞は重要な事を忘れてしまっていた。
 今日は久しぶりに椋に料理を振る舞うのだ。何度か作ったことはあったけれど、大半は椋が作ってくれていた。
 彼は趣味だからと言っていたけれど、とても上手く、花霞はいつも「おいしい、おいしい!」と、言いながら椋の料理を食べていた。レストラン顔負けの味、そして綺麗な盛り付けで、結婚したばかりの頃は驚きの連続だった。



 「やっぱりここは定番の肉じゃが?」
 「椋さん、和食が1番自信あるって言ってて…………。失敗できないんだよね……。」
 「和食が美味しいって、すごいわね。」
 「そうなんだよね………だから、無難にハンバーグにしようかと思ってるよ。大根おろしを添えての和風ハンバーグ。って、和食かな………?」
 「いいんじゃない。それだったら、野菜スープにサラダ、ご飯。うん、おいしそう!」
 「よかった。じゃあ、そうしようかな。」


 病気の相談をしていたはずが、いつの間にか料理の話になっていた。けれど、メニューを迷っていたので、親友に「美味しそうだね。」と言われると、何だか安心してしまう。


 花霞は、今日は、本屋に寄って帰るのを止めて、スーパーに駆け込んで食材を買い込んで、料理に集中しようと決めた。
 花霞が作った料理を食べて、「おいしいよ。」と、微笑んでくれる椋の笑顔を想像するだけで、花霞は顔がニヤけてしまう。
 椋に負けないぐらい、おいしいご飯を作ろうと、花霞は昼間から意気込んでいた。






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