溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
花霞の体が小さく震えた。
長い間雨に打たれていたせいか、気温は高くても体は冷えてしまったようだ。
それを見て椋は花霞の肩を優しく抱いて、歩き始めた。
「ごめん。焦りすぎた。………まずは家に帰ろう。このままだと風邪をひいてしまうよ。」
「………うん。」
花霞は彼の言う通りにして、ゆっくりと歩き出した。服に雨水が吸い込み、そして疲れから体が重くなっているはずなのに、花霞の足は何故か軽くなったような気がした。
「ブランケット使って。タオル持ってくれば良かったんだけど、慌ててて。ごめん。」
「そんな事ないよ。………ありがとう。」
花霞は彼からブランケットを受け取り、車の助手席のシートの上に弾いた。車内が濡れては困ると思ったのだ。
すると、それを見た椋は置いたブランケットを取り、花霞の体に掛けてくれた。
「車の心配はいいから。自分の体を温めて。俺が心配だから……ね。」
「うん………。」
彼がかけてくれたブランケットはとても温かく、花霞は少しだけ体の震えがなくなっていた。