溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
19話「大きな指輪」
19話「大きな指輪」
サァー………。
流れる水の音が聞こえる。
あぁ、今日は雨なのだろうか。
雨の日は朝が少しだけ億劫になってしまう。
もぞもぞと寝返りをうつと、花霞は自分の体のだるさを感じた。花霞は憂鬱な気分になりながら、目を開けた。
すると、隣りには椋が横になっていた。
彼の顔を見つめていると、花霞は昨晩の事を思い出してしまい、頬を染めてしまった。けれど、彼と本当の夫婦になった事、一緒に深い夜を過ごせた事が堪らなく幸せに感じたのだ。
ニヤついてしまう顔を何とか抑えながら、花霞は寝室にある時計を見た。普段起きる時間より早い時刻が表示されていた。
彼の隣で2度寝して余韻に浸っていたいなと思ったけれど、胸がドキドキしてもう眠れないだろうとも花霞は思い、そのまま起きる事にした。
ベットで体を起こすだけで彼は起きてしまう。それはいつもの事だったけれど、今日も起こさないようにゆっくりとベットを出た。
恐る恐る後ろを見ると、彼はまだ寝ているようで微かに寝息が聞こえてきたのだ。
「椋さんが………ね、寝てる………。」
花霞は驚いて声を出してしまった。
慌てて手で口を塞いだけれど、小声だったからか、椋が起きることはなかった。
こんなに熟睡している彼を見ることは今までなかったので、花霞はまじまじと彼の顔を見つめた。幼くて優しい表情で思わず「可愛い。」と思ってしまった。年上の男性にそんな事を言うのは失礼かもしれない。けれど、そう思ってしまったのだ。
花霞は彼の貴重な姿を見て、思わず笑みがこぼれた。