人間サイコロ
「嘘でしょ……。もういいよ。もう頑張ったじゃん!」


あたしはイクヤにすがりつくようにして叫んだ。


これ以上イクヤを傷つけたくない。


イクヤが苦しんでいる顔を見たくない。


なにより、イクヤから色のある世界を奪いたくなかった。


「やってくれ、カズヤ」


「……いいのか?」


「生き残る方法はそれしかない」


「ダメだよイクヤ!」


止めたって意味はない。


止めることで、イクヤはゲームオーバーとなり死んでしまう。


それでも、言わずにはいられなかった。


バカみたいに泣きじゃくって、イクヤの体を嫌というほど抱きしめる。


「ユウ、ありがとう。俺は大丈夫だから」


イクヤの手があたしの頭に触れて、優しく撫でた。
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