人間サイコロ
☆☆☆

数秒後、イクヤの左目は失われていた。


あたしは自分の制服を引き裂き、イクヤの目の上に巻いた。


それも、すぐに血が滲んできてしまう。


「イクヤ、大丈夫?」


「俺は平気だから」


横たわってそう答えるイクヤの声は弱弱しい。


ホナミもまだ目覚めないし、一刻も早くここから出ないといけない。


考えたくないけれど、2人とも死んでしまうかもしれないのだ。


「次は俺の番だ。サイコロを振るぞ」


すでにモニターの前に座ってコントローラーを手にしているカズヤが声をかけて来た。


「うん」


あたしは頷き、カズヤの隣に立つ。


しかし、出た目の数は1だったのだ。


「なんだよ、くそっ」


カズヤは大きく息を吐きだして舌打ちをする。


こればかりは運もあるから、仕方のないことだった。
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