人間サイコロ
「どうした? 次はなんのミッションなんだ?」


まだ意識のあるイクヤが、弱弱しい声で聞いて来た。


でも、それに答えている余裕はなかった。


この狭い倉庫内で、カズヤから逃げなければならないのだ。


背中に嫌な汗が流れて行くのを感じる。


全身が硬直してしまったように、恐怖で動く事もできない。


こんな中でカズヤに追い詰められたら、絶体絶命だ……!


「安心しろ。お前は狙わない」


カズヤはそう言うと不意に体の向きを変えた。


「え……?」


あたしは大きく呼吸をかえり、カズヤの動向を見守る。


安心させておいて襲ってくるのかもしれないから、油断はできなかった。


しかしあたしの予想に反して、カズヤはホナミへと歩みよったのだ。


あたしはハッとして駆け出していた。


「ダメ!」
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