人間サイコロ
その間にもカズヤはホナミの乳房を引き裂いた。


激しい痛みを感じたのだろう、ホナミが悲鳴をあげた。


しかし、出血のため体力を失っているようで、逃げ出すことができない。


一瞬、ホナミと視線がぶつかった。


あたしを見た瞬間驚いた表情を浮かべるホナミ。


あたしは……ホナミから視線をそらせてしまった。


心臓がドクドクと脈打ち、申し訳なさとふがいなさを感じる。


だけど、今あたしにできることなんてなにもなかったんだ。


やがてカズヤはホナミの乳房の一部を切断し終えると、それを口に運んだ。


ホナミは再びキツクめを閉じ、気を失ってしまったようだ。


カズヤは何度もえずき、吐きそうになりながらも肉片を粗食する。


口の周りはあっという間に真っ赤に染まり、それは本物の食人鬼のように見えてあたしは後ずさりをした。
< 106 / 188 >

この作品をシェア

pagetop