人間サイコロ
これじゃいくら布を当てたって意味がない。


あたしは焦り、自分の上着を脱いでホナミの胸に押し当てた。


お願い。


出血を止めて!


自分でも誰に祈っているのかわからなかった。


止血している両手がガクガクと震え、ホナミを失ってしまうかもしれないという恐怖が全身を包み込んでいく。


「次のプレイヤーはホナミだ」


カズヤが言う。


あたしは振り向き、カズヤを睨み付けた。


「そんなの……無理に決まってる!」


こんな状態でゲームに参加なんてできるわけがない。


「だけど、カウントダウンは始まってる」


カズヤの言葉にあたしは息を飲んだ。
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