人間サイコロ
☆☆☆

「ねぇ、昨日のスペアキー、やっぱりヤバイんじゃない?」


教室へ入ったところでホナミが駆け寄って来て耳打ちをしてきた。


「カズヤが1人でやったことなんだから、ほっとけばいいよ」


正直、これ以上カズヤの我儘に付き合わされるのはごめんだった。


大人しいミホを奴隷みたいにこき使うし、あたしたちのことだって見下しているのがバレバレだ。


「あたしだって嫌だけど、スペアキーがあるのを知ってて黙ってたら余計に立場が悪くなるでしょ」


「それはそうだけど……」


すぐに顧問の先生に伝えるのが一番いいし、ホナミもそうしようと言っているのだろう。


でも、カズヤにバレたら余計に面倒くさいことになってしまう。


昨日カズヤは自分で『俺が1人でスペアを作って、俺が1人で使うんだ』と、公言していた。


あたしたちはそれに従って知らないフリをするのがいい。


「おーい、カズヤが今日ゲーム研究会に行こうって言ってるんだけど、行くだろ?」


最悪のタイミングでイツキが声をかけてきた。
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