人間サイコロ
☆☆☆

イクヤの体を支え、壁にもたれさせた。


「こんなに傷だらけになって……本当にごめんね」


イクヤの体はゴキブリに噛まれてあちこちから出血している。


肉を引きちぎられた痕が痛々しかった。


「大丈夫だよ……まだ、なんとか生きてるから」


イクヤは顔をしかめながら冗談めかして答えた。


あたしは傷の1つ1つに布を押し当てて血をぬぐっていく。


今のあたしにできることなんて、これくらいだ。


「悪いけど、次のカウントダウンが始まってるぞ」


カズヤに言われてあたしは画面を確認した。


確かに、次のサイコロを振るためのカウントダウンが始まっている。


どんなことが起こっても、このゲームは終わらない。


プレイヤーが死んでゲームオーバーになるまで、続いていくのだ。

< 120 / 188 >

この作品をシェア

pagetop