人間サイコロ
「次はイクヤの番だよ。どうする?」


あたしがイクヤへ向けてそう聞くと、カズヤが鼻で笑った。


「どうするってどういう意味だよ。そいつが死んでもいいのか?」


あたしはそんなカズヤを睨み付ける。


死んで良いなんて言ってない。


ただ、これ以上続けたいかどうかを訊ねたのだ。


イクヤはすでに両目を失っているから、ミッションの内容によっては実行できないかもしれない。


そうなると、サイコロを振る意味だってなくなるのだ。


「……やるよ」


イクヤが、あたしの手を握りしめてそう言った。


その手は血で真っ赤に染まっていて、異常なほどの冷たさを感じた。


出血量が多すぎるのかもしれない。


「本当に大丈夫?」


「あぁ。俺にコントローラーを握らせてくれ」


そう言われ、あたしはすぐに立ち上がった。
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