人間サイコロ
その提案にあたしは息を飲んだ。


「全員で、死ぬってこと?」


「うん。誰か1人を決めて殺すなんて俺にはできない。でも俺がいなくなった後、この部屋にはカズヤとユウの2人が残ってしまう」


そこまで言ってイクヤは口を閉じた。


カズヤとあたしの2人だけの空間を想像してみる。


どう考えても、あたしにとって不利になるのだ。


これからどんなミッションが出て来るかわからないけれど、その度にターゲットにされる可能性も否定できない。


イクヤは、それを見越して発言してくれているのだ。


「なんでお前のために俺まで死ななきゃいけねぇんだよ」


今まで静かだったカズヤがため息交じりにそう答えた。


「今のミッションで死ぬのはイクヤ1人だけで済むはずだ。それなのに、全員で死ぬわけねぇだろ」


「イクヤが死ぬなんて決まってない!」


あたしは咄嗟にそう言い返していた。


イクヤがミッションをクリアしてくれれば、イクヤは生き残ることができるんだ。


「へぇ? そいつが俺かお前を殺せるとでも思ってんのかよ」


カズヤはそう言って鼻で笑った。
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