人間サイコロ
無視する
「痛い?」


「大丈夫だよ」


あたしはイクヤの背中の傷に布を押し当てていた。


少しずつ出血量は減っている。


それを見て安堵すると同時に、画面上のカウントダウンが気になった。


イクヤはミッションをクリアし、カズヤのキャラクターが減った。


そのため、次にサイコロを振るのはあたしの番だったのだ。


「後、どのくらい時間が残ってる?」


イクヤにそう聞かれて「20分」と、返事をした。


「本当に、良いのか?」


「うん……。もう、いいの」


カズヤが死んでイクヤと2人だけになり、あたしは決心したのだ。


もう、ゲームはやらない。


サイコロはもう二度と振らないと。


あたしはイクヤの手を握りしめた。


さっきよりも体温が低下しているように感じられ、たまらなくなって抱きしめた。

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