人間サイコロ
☆☆☆

唇を離した時、カウントダウンは10秒前になっていた。


それでも心はとても満たされていて、今までにない幸福感を覚えていた。


あたしはイクヤの胸に自分の頭を預けて、そっと目を閉じた……。


「誰かここにいるんだろ!?」


突然、そんな声と共にドアを激しくノックする音が聞こえてきてあたしは目を開けた。


「今の、先生の声か……?」


イクヤが戸惑ったように首を動かす。


確かに、ゲーム研究会の顧問の先生の声に似ていたけれど、こんなところに来てくれるわけがない。


ここは学校ではない、別世界なのだから。


そう思った時だった。


バンッ! と言う音と共にドアが大きく開かれていたのだ。


「お前ら大丈夫か!?」


額に汗を滲ませた先生が姿を見せた瞬間、あたしは唖然としていた。
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