人間サイコロ
「先生……どうして……?」


今までなにをやっても誰も助けに来てくれなかったのに、どうして今になって人が現れたのだろう。


「倉庫のドアが開かなくなっていたから、まさかと思ったんだ」


先生はそう説明をしながら、真っ赤に染まった部屋を見て顔をしかめた。


「……遅かったか」


そう言い、左右に首を振る。


そんな先生の右手にはお守りが握りしめられていることに気が付いた。


「ユウ、カウントダウンは?」


イクヤにそう聞かれて、あたしは我に返ったように画面を見つめた。


「……止まってる」


画面上の数字は10秒前で停止していたのだ。


ちょうど、先生がこの部屋をノックした時間だ。


「このゲームはちゃんと供養するはずだったんだ。その前にお前たちが見つけてしまった」


先生はお守りをかざしながら、あたしたちの方へと歩いて来た。


なにがなんだかわからない。


だけど、カウントダウンは途中で止まり、ゲームは進んでいないことは確かだった。


その安堵感から、あたしは一気に意識を手放してしまったのだった。
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