人間サイコロ
「なにか、わかったんですか?」


「あぁ。あのゲームを作成していたゲーム会社のことがわかった」


真剣な表情になる先生に、あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


「あのゲームを作成した会社は、10年前に水害に遭って社員全員が死亡していた」


先生の言葉にあたしは息を飲んで、目を見開いた。


「全員……死亡……?」


「あぁ。それは小さな会社だったけれどホラーゲームを作成していることで有名だった。あのゲームも、最初からホラーゲームのすごろく版として発売予定だったみたいだ」


だから、マスの内容があんなにグロテスクだったんだ。


「だけど、10年前の台風で大きな水害に遭い、ゲームは未完成のまま、会社もなにもかもが土砂に埋もれてしまった」


「そうだったんですか……」


確かに、10年前に大きな台風が来て被害が続出したことは覚えていた。


あたしたちが暮らすこの地域でも、何度も避難勧告が出されていた。


「それが、いつの間にかゲームは完成し、誰にも気が付かれない間に人の手に渡っていたんだ」


先生の言葉に背中が急激に寒くなって行く。
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